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初めての入学式

インド以来の数週間は、本当にあっという間でした。皆さんのご期待にお応えし、インドから帰った一週間は、経験した事のない胃腸の不具合に苦しみました。一緒に行ったミントも同じ症状で、特に彼はげっそりと痩せていました。周りの人は「大丈夫ですか〜?」と言いながらも、僕がまんまとそういう事になったというのに嬉しそうにしているのが見てとれました。(世の中そんなもんです)
春休みはニュージーランドでの職員研修もあり、帰ってすぐに始園式、入園式、そしてこの4月から始まったサニーサイド初の小学部の入学式がありました。
僕はずっと前から、小学校を作るのが夢でした。しかし、大学のような大きな規模の法人が附属の小学校を作ることはあるものの、そんな田舎の一幼稚園が小学校を作るなんて・・・聞いたこともない話です。
唯一方法があるとすれば、僕にとってそれはバカロレアのPYPの認定校資格をとることでした。なぜなら、PYPプログラムは3歳から12歳までの一貫教育プログラムだからです。それ以外、サニーサイドが小学部を作ることを周りに理解させる理由が見つかりませんでした。
そして、認定校は取りましたが、それでも基本的にそれで小学校ができるほど簡単なことではありません。もちろん、小学校を設置すること自体は何も問題がないのですが、「日本国籍を持つ子どもが合法的に通うことを認めらる小学校」となると、そこには義務教育法という法律があって、国の基準にあった施設で認可をとれないと、日本の法律上は小学校にはなれないのです。
今の日本という国においては、親や子どもが自分の教育機会を選ぶ自由が認められていません。この時代にあっても「国が」学校として認めないと、それ以外の学校に行く人はみな義務教育違反になるというわけです。
僕はこの場でそれを議論するつもりはありません。色々な人が色々な考えを持っています。法律は法律です。
でも、だからと言って、今の文科省が実践している教育活動が、混沌とするこれからの時代を生きる子ども達にとって十分だとは思っていません。学校教育が今のままでいいなんて多分誰も思っていないと思います。
色々迷いましたが、PYPの認定校として、PYPのフレームワークを使い、日本の教育要領を踏襲しつつ、グローバルの時代、未知の将来を生きる子ども達の為の教育を模索していく取り組みを始めることは、今の学校教育をより良いものにしていく上で、ひとつのモデルケースとしてきっと役に立つと思いました。
今は無認可であっても、いつか必ず「こんな素晴らしい教育を認可しないなんておかしい」と世間が評価してくれるまで、僕は自分の人生をかけて、この初めての船に一緒にのってくれた保護者のみなさんと子ども達と共にこぎだそうと思います。
教育者が法律をねじ曲げるようなことを生徒や親にさせるのは無責任だという批判があるのなら僕は甘んじてそれを受け止めます。でもそういう方には、実際にどういう教育が行われているかぜひ見に来ていただきたいです。うちの職員にはそれを成し遂げるだけの能力があると僕は信じています。
いずれにしても、この一枚の写真は、僕にとってすべての始まりです。この教育が、いつの日かちゃんと合法的な学校教育として評価され、これにかけて下さった保護者の皆さんの思いが間違っていなかったことを喜び合うことが出来るまで、いつの時も僕の机の上に置いたままこれからの時間を過ごしていきたいと思います。

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2016/04/12

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