IB / International Baccalaureate国際バカロレアとは

IBワールドスクールとは

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現在、世界140以上の国におよそ5,200校ある、IBワールドスクールは、スイス(ジュネーブ)に本部をおく、国際バカロレア機構(IBO)の厳しい基準をクリアした認定校をさします。
IBが提供するディプロマプログラム(高校生対象)の卒業資格(IBディプロマ)を有する生徒は、近年、世界のハイスタンダードな大学においても評価が非常に高いことから、IB教育を提供する学校は、全世界で急速に広がりをみせています。
日本におけるIB教育はもともと大都市の「インターナショナルスクール」でのみ受けられるプログラムでしたが、2013年、東日本大震災後に計画された日本再興戦略-Japan is back-において、その国内における推進が閣議決定され、現在、文部科学省が設置した「文科省IBコンソーシアム」において、普及活動が進められています。

岐阜市のサニーサイドインターナショナルスクールは、2016年、IBが提供する国際バカロレア初等教育プログラム(PYP)の一条校(教育基本法で定められた認可学校)として日本初の認定校となりました。

また、サニーサイドインターナショナルスクール代表の渡辺は、全世界のIBワールドスクール約5,200校から選出される12名の校長代表として、IB Heads Council Memberに参加し、幅広い地域でのIB教育の普及に関わっています。

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IB教育が目指すもの

IBの使命(IB Mission)には以下の文言が記されています。
多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
「IBのプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。」

グローバル化が進むと共に、国同士の紛争や、自国優先主義は根強く残っており、私たち人類にとって一番大切な「平和」は必ずしも約束されているものではありません。 過去の世界大戦で人類が大きく傷ついた過ちを決して繰り返してはいけない、多様な価値観を認め合って共生できる、そういう理想の世界に近づくために、それに貢献できる若者を育成する教育を目指しているのが国際バカロレア機構です。

なぜ今IB教育が求められるのか

今や世界のほとんどの国は、他国との関わりなしでは成り立たない時代を生きています。まさにグローバル時代です。しかし、世界は国同士、そして国を超えた様々な問題を抱えています。
地球温暖化はその一例ですが、それらはもうどこかの国が単独で解決出来るものではなく、世界の国が手を取り合って解決方法を探らなければ、地球の自然が崩壊し、水面上昇や自然災害などで人間が生きていけなくなってしまいます。
それら、今後持続可能な世界を守っていくために、世界全体で取り組もうとしている目標が国連が提唱するSDG’s(Sustainable Development Goals)です。

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地球と人類の未来は、これから大人になっていく子ども達、若者の手にかかっています。彼らは私たち今の大人とは違う時代を生きていかなくてはなりません。しかし、日本の戦後から続いてきた教育は、その時代を生きるのに相応しいものになっているでしょうか?

IBが目指す人物像には「自らの頭で考えて問題解決ができる自立した学習者」「バランスのとれた豊かな人間性」があります。PYPでは3歳から「子どもに考えさせる教育」に取り組んでいますが、従来の日本の教育は「教師が生徒に教える」というスタイルが基本です。「大人に教えられる教育」だけでは実は子どもは自分で考えなくても言われた事だけをやればいいという受け身の姿勢がついつい身についてしまうのです。
「考える」「創造的になる」というのは、実は面倒な作業でもあります。言われた事だけをやっている方が人は楽だと感じることもあるでしょう。しかし、これからやってくる「未知の世界」を生きていくためには、どんな壁にぶつかってもそれをクリエティブなアイデアで乗り越えていける、自分の力で問題解決のできる人でないとならないのです。
IB教育は、「探究型」の学習方法で知られていますが、これは言い方を変えれば、最近日本の教育現場でも聞かれるようになった「アクティブラーニング」とほぼ同意義です。知識の詰め込みや暗記、先生が教える授業の形は、世界の教育トレンドではすでに過去のものとなりつつあり、日本の教育も大胆なパラダイムシフトが真に求められているのです。

変わらない日本の教育

塾通いをする子どもはどんどん低年齢化しています。多くの子ども達が夜遅くまで塾に通い、心身ともに健全な子どもらしい生活様式もどんどん失われています。 なぜこのような生活が当たり前になっているのかと言えば、それは日本の大学入試制度に諸悪の根源があると言われています。日本の学生にとって、最終ゴールは「有名大学に合格すること」です。それらの大学が入学選抜で求めるのは知識の量であり、必ずしも「思考力」ではありません。

くしくも近年、生徒の論理的思考力も評価されるべきだという期待から大学入試に「記述式問題」を導入するという話題が上がりましたが、結局のところ「公平な評価ができない」という理由で大学側や受験生、学校の教師達から強い反対があり、もとの形にもどってしまいました。

IBは長年に渡り、卒業試験において記述式や、エッセイなどを取り入れていますが、学校の先生達にしっかりと研修を受けてもらえば、本来しっかりとした評価は出来るのです。しかし、日本の教育関係者は「出来ない」と決めつけて諦めてしまいました。

英語教育もしかりです。これほどまでに英語教育の重要性がさけばれる今日にあって、民間の英語試験の導入自体が適切な方策であったかどうかはさておき、その英語教育のあり方、試験の行い方をより実用英語に近い形のものに変えようとしたことも、「やっぱりやめましょう」と、つまり「今までと同じ形で」となってしまうのですから、それが変わらない日本の教育の現状です。生徒の創造性や論理的思考力をみようとせず、知識の量を問う試験だけで評価しようとするのはもはや大学側の怠慢であり、またその変化をきらう学生自身や教育関係者もそれが「自ら考える力」をうばっていることに気付いていません。

そしてその流れの中で、日本の初等教育、中等教育、高等教育も変化を起こすことが出来ずにいるのです。

ハイレベルな教員育成

IB教員になるには、あらゆる点において高いレベルの基準が求められます。それぞれの国の教員資格を有していることが最低条件で、さらに、IB機構の定めるインテンシブな研修を継続的に受けなくてはなりません。

生徒の主体性を尊重し、生徒一人一人の個性を伸ばす教育を行うことは、教科書を使って一方的な授業をするよりもはるかに難しいものです。IBワールドスクールの認定校になるのは、基本的にまずは教員の研修、育成から始まります。世界のIBスクールには授業料が高額な学校が多くありますが、それらはそこで教える教員の質がそれに反映されている場合が多いからです。

IB教員は常に自分がよりレベルの高い授業ができるよう、自己研鑽に意欲的に取り組んでいますし、また学校側も教員研修のための予算をしっかりと準備して継続的な資質向上に取り組んでいます。

「考える力」はアクションにつながっていく

IB教育を受けた生徒が世界のハイスタンダードな大学にとって「魅力的だ」と言われるのはどういう要素があるのか、というリサーチも行われています。

その回答で高く評価されるのはIB卒業生の創造力と行動力だと言われています。IB教育においては、初等教育の段階から「学んだことをベースにアクションにつなげる」までをひとつの区切りとしています。学んだことは生かさないと意味がないと考えているからです。例えば地域の環境問題について学んだのであれば、「その問題を少しでも解決するために自分たちに出来ることはあるか」を考え、ポスターを作ったり、地域コミュニティーに出かけていって奉仕活動に参加したりすることもあります。

「学んだことが実際に役にたって、それを周りの人に喜んでもらえる」それらを繰り返しているうちに、子ども達は「大きくなったら社会の一員としてどういう役割を果たしたいのか」というゴールが明確になっていきます。つまり、大学に入る時点で、「大学を卒業した後になりたい自分がいて、そのために学びたい」ということをしっかりと言える生徒になっているのが大学側から高く評価される部分であると言えます。

International mindedness

この言葉が日本語でどのように訳されるべきかは悩ましいところではありますが、本校ではそのままInternational mindednessという言葉で使っています。平たく言えば、「多種多様な価値観を受け入れられる姿勢」ということだと思います。
確かに最近では日本においても多様性は徐々に受け入れられるようになっては来ていますが、もともと長い間島国であった地理的条件もあいまって、「自分が他の人と違うこと」「自分が他の人と違う考え方を持っていること」についての許容性は先進諸外国に比べ遅れていると思われます。

「いじめ」は良く日本独特の文化とされることがありますが、その背景は「人と違うこと」が良しとされず、受け入れられずにターゲットになってしまうことが大きな理由としてあるに違いありません。
その点、IB教育においては、幼児期からこのInternational mindednessについて、前述の「IBの使命」にも明記されているよう、「自らの価値観と違うものを受け入れることが当たり前」としていますので、いじめの場面に居合わせた時に、そのいじめを行っている人が間違った行動をしているということに気づくことが出来ます。そしてそれを堂々と、「あなたは間違っている」と言える、そういう大人になってほしいと願っています。

IB Learner Profile(学習者像)

IB教育の核心を語る上でもっとも重要だとされているのが、このIBラーナープロファイル、日本語ではIB学習者像といって、グローバル社会に求められる人物像を10の姿として表しています。

Inquirer(探求する人)

学びを楽しみ、もっと知りたいと思う
新しいことを見つけようとする

Courageous/Risk-takers(勇気のある人・挑戦する人)

自信を持って物事に取り組める
新しいことにチャレンジする勇気を持つ

Principled(信念をもつ人)

自分が正しいと思った考えを話し、行動できる
正しい選択ができる

Balanced(バランスのとれた人)

楽しく生活ができる
心も体も健康である

Knowledgeable(知識のある人)

知っていることや学んだことを使うことができる

Open-minded(心を開くひと)

見たり聞いたりしたことをポジティブに受け入れ認め合う

Caring(優しい人)

他の人を助けることができる
世界中にあるどんなものに対しても思いやりが持てる

Thinkers(考える人)

よりよい行動につながるようによく考えている
新しいアイディアを考える

Communicators(コミュニケーションのできる人)

いろいろな方法で自分の考えをシェアできる
進んで他の人の話が聞ける

Reflective(振り返りの出来る人)

もっと良くなる為の方法を見つけられる
次のステップがわかり、行動に移す気持ちを持つ

経験豊富なIB教員の中には、「この学習者像さえ達成できれば、それはIB教育そのものだ」という人もいるそうです。この学習者像は、全世界のIBスクールの共通言語として国をこえて大切に考えられている価値観です。
また、IB教育を実りあるものにするためには、生徒のみならず、教師、保護者も含めたスクールコミュニティー全体でこの価値観に向かっていく必要があります。

誰もがライフロングラーナー

前述のIBラーナープロファイルにおいて、あえてLearner(ラーナー)としているのには理由があります。IBは、「すべての人は、生涯に渡って学び続ける姿勢をもっていなくてはならない」と考えているからです。
日本でも「生涯学習」という言葉が聞かれるようになりました。どんどんスピードをましていく変化の時代にあっては、一度学んだ知識や常識が瞬く間に時代遅れになってしまったり、社会に出てからも様々な場面で新しいことを学んでいかなくてはならないのです。
学ぶのは何も子ども達だけではありません。私たち大人も常に学び続ける姿勢をもち、自分は生涯「学習者なのだ」という意識を持つことがIBコミュニティーの一員として求められるのです。ライフロングラーナーであるために。

つながる世界のIBコミュニティー

平和な世界を究極のビジョンとするIBスクールは世界140以上の国に存在しています。そのすべての学校が大きなIBの使命のもと、それぞれの理念をもって学校教育に取り組んでいますが、IBワールドスクールはその点において強い仲間意識を持っています。インターネットが発達した近年では、世界中のIBスクール同士が様々な情報交換や交流などを行うことができ、自分の学校が日本であっても、世界中の子ども達とつながることが出来るのもまたIBコミュニティーの魅力です。
本校も世界のいろいろな学校やその教員と交流を持っていますが、今後、それらのネットワークをさらに広げ、子ども達に多様な文化や価値観を紹介していきたいと考えています。

国際バカロレア参考リンク
国際バカロレア機構ウェブサイト(英語)  https://www.ibo.org/
文部科学省IB教育推進コンソーシアム  https://ibconsortium.mext.go.jp/

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PYP(Primary Years Programme)の特長

PYPは3歳から12歳の児童を対象にした一貫プログラムです。
どの言語でも提供可能となっているプログラムで、全世界には約1,700のPYPスクールがあり、日本においても年々認定校が増えています。

概念理解を重視した学び方

PYPスクールでは基本的に教科ごとで授業を行うことはありません。Transdisciplinary Learning(教科を超えた学び、クロスカリキュラム)という考えのもと、以下の6つのテーマのもとに探求ユニットが計画されます。

    PYP教科をこえた学びのテーマ

  • Who we are(私たちは何者か)
  • How we express ourselves(私たちはどのように自分を表現するか)
  • Where we are in place and time(私たちはどの場所、どの時代に生きているか)
  • How we organize ourselves(私たちは自分たちをどう組織しているのか)
  • How the world works(世の中のしくみ)
  • Sharing the planet(地球の共有)
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ATL Skills

また、学び方のツールになりうるスキルとして、以下の5つスキルをATLスキル(Approach to learning Skills)を生徒達に使わせています。

  • Self-management Skills(自己管理スキル)
  • Social Skills(社会性スキル)
  • Research Skills(リサーチスキル)
  • Thinking Skills(思考スキル)
  • Communication Skills(コミュニケーションスキル)

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